マルティの場合
「……さて」
いつもよりも多めの食材。 いつも以上に気合を入れて。
「年に一度の事ですからね」
喜んでもらえるように、特別の料理をつくりたい。
みつねの場合
鏡に向かって、念入りに髪形をチェックする。
「変、じゃない……よな?」
いつもと同じポニーテールだけど、なんでかいつも以上に気にかかる。
「リボン……つけてみようかな」
去年買って、結局仕舞いこんだままの赤いリボン。
自分には合わないと思いながら、手にとってみる。
「う〜……やっぱり、こう言うのは私のキャラじゃない、よなぁ〜」
合わせて見て、似合わなさにちょっとだけ落ち込んだ。
「そ、そもそもクリスマスだからって特別な事なんてないし」
そう言いながらも買ってしまったプレゼントの包みに目をやる。
「渡せる……かな」
想う相手に、素直に……。
それが出来そうになくて、少し悲しくなった。