ヴィア:世界の有様
球に映る世界。
そこにあるのはいつも、幼い頃に思い描いていたもの。
けれどもそれが世界ではない無い事を、今は知っている。
「またそんなもんを覗きこんで、楽しいのか?」
「さあ、どうでしょうね?」
コレは…いわば習慣的な事で、楽しいのかなんて自分でも分からない。
「お主は、昔からてんでかわらんなぁ」
呆れたような口調で言われる。
「お師匠だって、そうじゃないですか」
「儂は変わりようが無い」
とうに年寄りだからな…と、自慢げに言うお師匠の外見は、どう見ても自分より小さな子供のようで。
不思議とおかしくなってくる。
球の中に映る世界は幼い頃の夢のまま。
そんな世界は自分には無いものだと思っている。
それなのに、この幼い師匠は私に世界を見せてくれる。