ヴィアと白蛇

「ねぇ、ヴィア」
甘ったるい猫なで声。
後ろから優しく絞めるように、首にまわされた腕。
「なんだい?」
ヴィアは本を読む手を止めることなく、面倒くさそうに答える。


「ヴィアって、ヒドい人だヨね」
「いきなりなんだい」
「なんトナく、ソウ思ったカら言っタだけ」
くすっと楽しそうに笑いながら、邪気の無い物言いで痛い所を抉るような事を言う。


「まあ、私は嘘付きだから否定は出来ないけど」
「下手だケドね、嘘付クの」
くすくすと子供のように笑いながら、ヴィアの頬に軽く唇をを寄せる。
その動きは子猫がじゃれているようなに感じた。

「君だって、普段は嘘付きじゃないか」
ヴィアは読んでいた本を閉じ、白蛇を振り解く。
「今くらい、普通に喋ったらどうだい?」



「ふふ、ヴィアって本当酷い人だね」