ヴィアの場合

騒がしいのは好きじゃないし、出来れば一人で部屋に篭っていたい。
クリスマスだろうと、そう思うのは変わらない。
祝い事をする習慣が幼い頃からあれば、そうも思わなかったかもしれないけれど。
子供の頃のクリスマスなんて最悪の思い出しかないから、出来れば忘れてしまいたい。


もはや爆音にも近いキッチンからの音を聞いていると、ため息がもれる。
「お師匠は言い出した聞かないからね」
あの人に拾われてからというもの、何かがある度にパーティーを催すことになっている気がした。


「今年のケーキは……爆発しないといいのだけど」
去年のクリスマスを思い出したら、何故だか少しだけ、パーティーが楽しみになった。