嫌になるほどの赤

落ちていく夕日が、何もかもを赤く染めている。


「嫌な色」


アルザが思わずそう呟いた。


「そうですか?」
近くにいたシュナにはその声が聞こえたのだろう。
「私は美しいと思います」
血のように紅くてね、とシュナは続けた。
にやっと口の端を歪め、さも馬鹿にしたような口調だった。
いやきっと馬鹿にしているのだろう。


「だからに決まってんだろ」
今度はシュナには聞かれないように小さな声でこぼした。


夕日が辺りを赤に染めている。
何かが起こりそうなほどに赤く、赤く染まっていく。


血のように紅く。